岩井事務所だより2月号は「平成28年分確定申告のポイント」です。
本年も所得税の確定申告時期となりました。還付申告は、既に一月から始まっていますが、納付額のある人については、二月十六日から三月十五日までとなります。
以下、平成二十八年分確定申告のポイントを整理してみます。
1 確定申告の対象者
●確定申告をしなければならない人
(主な例)
① 個人で事業を行っており納税額がある
② 不動産収入があり納税額がある
③ 給与が年間二千万円を超える
④ 二か所以上から給与をもらっている
⑤ 同族会社の役員等で、その会社に不動産や事業資金を貸し付け、使用料・利息等を受け取っている
⑥ 平成二十八年中に土地等の譲渡があった
⑦ 給与所得者で給与以外の所得金額が二〇万円を超える
●所得税の還付を受けられる人
(主な例)
雑損控除、医療費控除、寄附金控除、配当控除、住宅ローン控除を受ける人
2 平成二十八年分確定申告の主な留意点
(1) 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設
相続開始直前において、被相続人のみが居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含みます)又は家屋除却後の土地を相続時から三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までに譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から三千万円を控除することができます。
この制度は、平成二十八年四月一日以後の譲渡から適用されています。
(2) 住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例の創設
平成二十八年四月一日から、自己の有する家屋に多世帯同居改修工事を行った場合に、次の①又は②の特例を適用することができます。
対象となる工事は、キッチン・浴室・トイレ又は玄関のうち少なくとも一つを増設し、いずれか二つ以上が複数箇所になる工事です。
① ローン型減税
多世帯同居改修工事を含む増改築工事に係る住宅借入金等(償還期間五年以上)の年末残高一千万円以下の部分について、一定割合を乗じた金額を五年間の各年において所得税額から控除
② 投資型減税
多世帯同居改修工事の標準的な費用の額の一〇%相当額をその年分の所得税額から控除
相続税を減らすために結んだ養子縁組が有効がどうかが争われた訴訟の上告審判決で最高裁は1月31日、「節税が主な目的であっても縁組が無効になるとは言えない」との初判断を示しました。
相続税額は遺産全体から一定額の基礎控除を差し引いた上で算出されますが、この控除分は3000万円が基本で、相続人1人につき600万円を加算されます。
そして、実子がいても養子は1人まで、実子がいなければ2人まで相続人に含められて基礎控除が計算されます。
そのため、相続人が多いほど控除額が増えて税金が減ることになり、資産が多い場合に節税目的で養子を増やすケースが少なくありません。
今回の訴訟では男性に縁組の意思があったかどうかが争点となりましたが、最高裁は「節税の動機と縁組の意思は併存し得る」と指摘し、縁組の意思があれば節税目的の養子縁組を認める初の判断を示したうえで、「男性に縁組の意思がないとはいえない」として縁組は有効と結論づけました。
資産家などが子の配偶者や孫を養子にすることは多く、こうした相続税対策の現状を裁判所が追認する形となりました。
しかしながら、今回の最高裁判決はあくまで民法上の養子縁組の有効性を判断したものであることから、税務上はこれまでどおり養子縁組に至った事情など個々の実態に応じて運用されていくことになりますので注意が必要です。
政府は1日、働き方改革実現会議を開き、長時間労働を抑制するための議論を開始しました。
残業時間の上限については、年間で月平均60時間とし、繁忙期は単月なら100時間、2ヶ月続くなら月平均80時間までと定める考えで、上限を超えた場合は罰則の対象にする予定です。
現在の労基法は企業が残業させる場合、労使協定(36協定)を結んで上限時間を決める必要がある。
厚生労働省は上限を「月45時間」と告示しているが、労使で合意すれば年6回まで上限を超えられるため「青天井」と批判されています。
今回の政府案は残業時間について労使合意でも越えられない上限を設けることを検討しています。
厚生労働省の過労死ラインが「1ヶ月100時間、2〜6ヶ月平均80時間超」とされていることから、政府が過労死ラインまでの残業を追認しているような形になっているため、野党や過労死遺族から批判が上がっています。
残業時間に上限を設けるにしては緩すぎますので、今後は上限がさらに引き下げられて議論されるのではないかと予想されます。
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