【岩井事務所だより】9月号「特定資産を買い換えた場合の特例」
2026/09/01
法人が特定資産を買い換えた場合に圧縮記帳ができる制度について、令和8年度税制改正で対象資産の見直し等がされたうえで、適用期限が令和11年3月31日まで延長されました。
適用できる資産は限定されていますが、制度の内容や改正点について、ポイントを確認します。この制度は、法人が保有する土地や建物などの事業用資産を買い換えた際に、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができるものです。
具体的には、法人が、事業の用に供している棚卸資産以外の特定の資産(以下「譲渡資産」)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(以下「買換資産」)を取得し、取得の日から1年以内にその買換資産を事業の用に供した場合または供する見込みである場合、買換資産について一定の方法で経理をしたときは、「特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」の適用を受けることができます。
対象となる譲渡資産は、棚卸資産ではない、贈与や交換などにより譲渡する資産ではない、合併などにより移転する資産ではない、などの要件を満たす必要があります。
買換資産は、原則として譲渡した日を含む事業年度に取得した資産であることが必要ですが、譲渡資産を譲渡した日を含む事業年度の前後1年以内に取得した資産も含まれます。また、買換資産が土地等の場合には、譲渡資産である土地等の面積の5倍以内の面積であることなどの要件を満たす必要があります。
なお、圧縮記帳の適用に当たっては、一定の期限内に、届出書を所轄税務署長に提出する必要があります。
圧縮記帳の適用を受けるための経理方法には、いくつか種類がありますが、ここでは「損金経理により買換資産の帳簿価額を減額する方法」について説明します。
まず譲渡資産については、譲渡対価の額から、譲渡資産の帳簿価額と譲渡経費の額を差し引いて、譲渡資産の譲渡益を計上します。そして買換資産について、圧縮限度額まで圧縮損を計上し、買換資産の帳簿価額を減額します(図参照)。圧縮損を計上することで、譲渡資産の譲渡益を圧縮(減額)させることになります。
圧縮限度額は、圧縮基礎取得価額(買換資産の取得価額と譲渡資産の対価の額のうち、少ない方の金額)に差益割合と圧縮割合を乗じて求めます。
圧縮限度額を求める際の圧縮割合は、原則は80%です。ただし、長期所有資産の買換え(詳細は後述(3))については、次のようになります。
① 譲渡資産が、地域再生法に規定する集中地域以外の地域内(以下「集中地域以外」)にあり、かつ買換資産が東京都の特別区の存する区域内にある場合で、本店または主たる事務所の所在地の移転を伴うとき:60%
② 譲渡資産が集中地域以外にあり、かつ買換資産が東京都の特別区の存する区域内にある場合で、①以外のとき:70%
③ 譲渡資産が集中地域以外にあり、かつ買換資産が地域再生法に規定する集中地域(東京都の特別区の存する区域を除く)内にある場合:75%
④ 譲渡資産が東京都の特別区の存する区域内にあり、かつ買換資産が集中地域以外にある場合で、本店または主たる事務所の所在地の移転を伴うとき:90%
この制度は、全ての資産の買換えが対象になるものではなく、次の買換えに限定されています。令和8年度税制改正による見直しと併せてみていきます。
(1) 航空機騒音障害区域内にある土地等(一定のものを除く)、建物(その附属設備を含む、以下同じ)または構築物で一定の場合に譲渡されるものから、その区域外で一定の土地等、建物、構築物または機械・装置への買換え
<改正> 一定の区域に係る措置を除外。
(2) 既成市街地等およびこれに類する一定の区域(人口集中地区)内にある土地等、建物または構築物から、土地の計画的かつ効率的な利用に資する施策の実施に伴って取得をされる土地等、建物または構築物への買換え。
<改正> 買換資産が防災再開発促進地区など特定の区域以外の区域内にある場合の圧縮割合を60%に引下げ。
(3) 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物または構築物から国内にある一定の土地等、建物または構築物への買換え。
<改正> 買換資産を、事務所や工場、店舗、倉庫などの施設と、その敷地の用に供される土地等に限定。
(4) 日本船舶から日本船舶への買換え。
<改正> 一定の出力以下の譲渡資産を除外。



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