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【岩井事務所だより】8月号「社債利子に対する課税強化」

2026/08/03
【岩井事務所だより】8月号「社債利子に対する課税強化」
 岩井事務所だより8月号は「社債利子に対する課税強化」です。

 個人が同族会社から支払いを受ける社債利子については、平成28年と令和3年に税務上の取扱いが変更され適正化が図られてきました。この取扱いについて、令和8年度税制改正でも、さらなる改正が行われましたので、その内容を見ていきます。

※ 本文中に記載の税率は所得税のみを記載し、復興特別所得税や住民税などは含まれていませんのでご注意ください。


【利子所得と給与所得】

 社債利子に対する課税強化では、利子所得と給与所得の課税方法の違いが重要なポイントとなりますので、まずはこれらの仕組みについて確認します。

 所得税は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・山林所得・一時所得・雑所得に所得を分類して、税金の計算を行います。

 このうち利子所得は、預貯金および公社債の利子などに係る所得をいい、原則として、その支払いを受ける際に利子所得の金額に一律15%の税率を乗じて算出した所得税が源泉徴収され、これにより納税が完結する「源泉分離課税」の対象となります。

 一方、給与所得は、使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料・賃金・歳費・賞与などに係る所得をいい、不動産所得など「総合課税」の対象となる他の所得を一定の方法により合計し、所得控除の合計額を控除した残額に税率を乗じて税額を計算します。税率は、課税される所得金額により、5%から45%の7段階に区分されています。


【これまでの改正】

(1) 平成25年度税制改正

 平成28年1月1日以後に支払いを受けるべき特定公社債等の利子等については、税率15%により所得税が源泉徴収されるとともに、税率15%の申告分離課税の対象になります。また、確定申告をしないことも選択することができます。

 特定公社債等とは、国債・地方債・外国国債・公募公社債・上場公社債・平成27年12月31日以前に発行された公社債(同族会社が発行した社債を除きます)など、一定の公社債や公社債投資信託などをいいます。

 同族会社の役員などが会社から受け取る役員報酬は、本来は給与所得とされ総合課税の対象となり、所得が多いほど税率が高くなります。しかし、税負担を軽くするため、役員が社債を引き受け、役員報酬の代わりに社債の利子を受け取ることで、税率15%の源泉分離課税にすることが問題視されていました。

 そこで、特定公社債以外の公社債の利子のうち、平成28年1月1日以後に支払いを受けるべき同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる一定の株主およびその親族等が支払いを受けるものは、総合課税の対象となりました。【下図参照】

(2) 令和3年度税制改正

 令和3年度税制改正では、総合課税の対象となる社債の利子の範囲が見直されました。

 具体的には、令和3年4月1日以後に支払いを受けるべき同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人(法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等)およびその親族等が支払いを受けるものも、総合課税の対象となりました。

 一定の個人が同族会社との間に法人を介在させるような場合についても、分離課税への転換が容易であるとして、見直されました。【下図参照】


【令和8年度税制改正】

 ここまで見てきたように、同族会社の株主が、本来は総合課税が適用される役員報酬等を社債の利子で受領し、分離課税となる利子所得に転換することで税負担を軽減する事例がみられたことから、これを適正化するため課税強化が行われてきました。しかし、近年では同族会社から第三者法人を介在して社債利子を支払うケースや、複数の同族会社の株主がそれぞれ相手方の同族会社から互いに社債の利子をたすき掛けのように支払うケースといった、通常行われない取引関係を構築することで総合課税の適用を免れている事例がありました。

 そこで、令和8年度税制改正では、同族会社の役員等が、その同族会社以外の法人(以下「特定法人」)が発行した社債の利子で、「実質的にその同族会社から支払いを受けるものと認められる場合」におけるその利子については、総合課税の対象になりました。また、その同族会社の役員等が支払いを受けるその特定法人が発行した社債の償還金についても、総合課税の対象となります。【下図参照】

 この改正により総合課税の対象となるものは、令和8年4月1日以後に支払いを受けるべき社債の利子と、その社債の償還金です。

 なお、実質的にその同族会社から支払いを受けるものと認められる場合とは、特定法人が発行した社債に係る債務についての同族会社による保証の契約やその他の状況からみて、同族会社の役員等が、特定法人が発行した社債に係る債務の不履行があった場合でも実質的に損害を受けないと認められる場合をいいます。





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