厚生労働省は17日、都道府県ごとに決められる地域別最低賃金の平成29年度の改定結果が出そろい、全国平均の時給は昨年度比25円増の848円になったと発表しました。2年連続となる3%の引き上げで、金額でも昨年度と並んで現在の方式になった平成14年度以降最大の上げ幅となりました。
京都府の最低賃金は856円で、10月1日発効予定です。
最低賃金の引上げは純粋なコスト増になりますので、特に中小企業にとっては大きな痛手です。節税や助成金・補助金などの急場しのぎの手当てでは限界がありますので、企業競争力を低下させないような施策が望まれます。
高収入の一部専門職を残業代支払いなどの労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案の修正を巡り、連合は27日、政労使での修正合意を見送り、新制度への事実上の容認姿勢を撤回することを決めました。
当初の改正案は、「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれ、年収1075万円以上を条件に金融ディーラーや研究開発などの専門職を対象としたもので、残業代ゼロが可能となる制度でした。これに当初は反対していた連合が休日確保義務などを課すことで賛成に転じようとしていることが話題となりましたが、案の定、世論と連合内部の反対により、頓挫する形となったようです。過労自殺が問題となっている昨今では、当改正案の成立は一筋縄ではいかないでしょう。
労働者が不当解雇された場合に職場復帰ではなく、金銭支払いで解決する制度に関し、厚生労働省の有識者検討会は5月29日、制度の必要性について「労働者救済の選択肢を確保する観点から一定程度認められる」として、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論するよう提言する報告書を取りまとめました。
報告書は、不当に解雇された労働者が復職ではなく、金銭支払いによる解決を求め、裁判所が違法解雇と認定した上で支払いを命じる仕組みを推す内容となっています。
労働者と会社双方が事前に金銭的な予測を立てることができるよう、会社が支払う解決金に上限と下限を設けることを適当としています。
不当解雇訴訟においては、その多くが金銭支払いにより解決している現状がありますし、また、いたずらに訴訟を長引かせないという意味でも、不当解雇金銭支払制度は有用ではないでしょうか。
そもそも違法解雇が発生しないような制度を設ける必要があるという意見はごもっともですが、今回の制度も会社・労働者双方にとって選択肢の一つとしての意義があります。
厚生労働省は、女性に比べ著しく低い男性の育児休業取得率をアップさせようと利用促進策の検討を始めました。
子育てと仕事の両立のための負担が女性に大きく偏り、安倍政権が掲げる女性の活躍推進の障害となっているためとのことです。
取得しづらい職場の雰囲気を改善するため、企業に男性従業員の利用状況の公表を義務付ける案などが浮上しています。
現行で最長1年半の育休は、法改正により今年10月からは最長2年に延長されました。
これは、待機児童対策の一環ですが、女性の育休取得が長期化すればキャリア形成に悪影響を与えるとの懸念は根強いです。
また、女性の育休取得率は80%を超えているにもかかわらず、男性の育休取得率は2〜3%ほどにとどまっています。
そのため、厚労省は、男性育休状況の公表義務付けにより、取得率アップを狙っているようです。
現在、男性従業員に育休を取得させると事業所に57万円が支給される助成金などがありますので、事業主の方も前向きに検討されてはいかがでしょうか。
政府が導入を進める残業規制について、安倍首相は13日、連合会長と経団連会長に、繁忙期の上限を「月100時間未満」にするよう要請しました。
労使は合意する方向で、焦点だった残業上限問題は首相裁定で事実上決着しました。
政府は最長で年720時間とする上限を盛り込んだ働き方改革の実行計画を月内にまとめる方針です。
残業規制のポイント
・残業は原則として月45時間、年360時間を上限とする。
・繁忙期に限り、年6ヶ月まで月45時間を超える残業を特例で認める。
・特例の上限は単月で月100時間未満とする。2〜6ヶ月では平均80時間を上限とする。
・特例の延長分を含めても年720時間以内でなければならない。
残業上限月100時間は長すぎるように感じますが、一定の規制を設けることを優先した形です。
この内容は今後の労働基準法改正に盛り込まれますので、当該違反については罰則が科されます。
また、導入から5年後に見直すことが明言されています。
見直しの際に上限の引き下げが検討されるであろうことから、残業規制について一歩踏み出したという点は評価できるかと思います。
政府は1日、働き方改革実現会議を開き、長時間労働を抑制するための議論を開始しました。
残業時間の上限については、年間で月平均60時間とし、繁忙期は単月なら100時間、2ヶ月続くなら月平均80時間までと定める考えで、上限を超えた場合は罰則の対象にする予定です。
現在の労基法は企業が残業させる場合、労使協定(36協定)を結んで上限時間を決める必要がある。
厚生労働省は上限を「月45時間」と告示しているが、労使で合意すれば年6回まで上限を超えられるため「青天井」と批判されています。
今回の政府案は残業時間について労使合意でも越えられない上限を設けることを検討しています。
厚生労働省の過労死ラインが「1ヶ月100時間、2〜6ヶ月平均80時間超」とされていることから、政府が過労死ラインまでの残業を追認しているような形になっているため、野党や過労死遺族から批判が上がっています。
残業時間に上限を設けるにしては緩すぎますので、今後は上限がさらに引き下げられて議論されるのではないかと予想されます。
ブラック企業をより厳しく取り締まるため、厚生労働省は26日、新たなガイドラインを発表しました。
厚労省はこれまで「月100時間超の残業を3事業所で確認した場合」に企業名を公表していましたが、新基準では「月80時間超の残業または過労死等・過労自殺等が2事業所で確認できた場合」に立ち入り調査を行い、追調査で違反が認められた場合に企業名が公表されるようになります。
電通事件を受けての厚生労働省の緊急対応となります。
これが違法残業の抑止力になれば良いですが、企業体質から変えていかないとなかなかサービス残業や隠れ残業はなくならないでしょう。
正社員と非正規労働者の不合理な待遇の格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現のため、政府が作成した指針案が15日に判明しました。
通勤手当や出張旅費、食事手当、慶弔休暇は非正規を対象外とする格差を認めず、正社員と「同一の支給をしなければならない」と明記するとのことです。
それに対して、基本給やボーナスは仕事を進める能力や成果などが同じなら同水準の支給を原則とし、職業経験や成果に応じて支給内容に差を設けることも容認しました。
基本給と賞与は格差が容認されましたが、手当と福利厚生は同一に扱うべきとされました。
今回は指針レベルの規定ですので、罰則はないと思われます。
しかしながら、今後は労働基準法のように罰則が設けられることが考えられますので、パート・アルバイトを雇用されている事業主はご注意ください。
政府は27日、「働き方改革」に向け関係閣僚や労使代表ら有識者による「実現会議」の初会合を首相官邸で開きました。
長時間労働の抑制は、労働基準法が定めた残業に関する労使協定(36協定)の見直しが課題であり、これの上限設定を検討するとのことです。
また、自民党内には超過した場合の罰則を求める声もあるようです。
問題として、特に中小企業では、残業時間を抑制するために雇用を増やせば人件費増につながります。
また、実質的にはサービス残業が横行することになるのではないでしょうか。
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