相続税を減らすために結んだ養子縁組が有効がどうかが争われた訴訟の上告審判決で最高裁は1月31日、「節税が主な目的であっても縁組が無効になるとは言えない」との初判断を示しました。
相続税額は遺産全体から一定額の基礎控除を差し引いた上で算出されますが、この控除分は3000万円が基本で、相続人1人につき600万円を加算されます。
そして、実子がいても養子は1人まで、実子がいなければ2人まで相続人に含められて基礎控除が計算されます。
そのため、相続人が多いほど控除額が増えて税金が減ることになり、資産が多い場合に節税目的で養子を増やすケースが少なくありません。
今回の訴訟では男性に縁組の意思があったかどうかが争点となりましたが、最高裁は「節税の動機と縁組の意思は併存し得る」と指摘し、縁組の意思があれば節税目的の養子縁組を認める初の判断を示したうえで、「男性に縁組の意思がないとはいえない」として縁組は有効と結論づけました。
資産家などが子の配偶者や孫を養子にすることは多く、こうした相続税対策の現状を裁判所が追認する形となりました。
しかしながら、今回の最高裁判決はあくまで民法上の養子縁組の有効性を判断したものであることから、税務上はこれまでどおり養子縁組に至った事情など個々の実態に応じて運用されていくことになりますので注意が必要です。
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